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大阪地方裁判所 昭和55年(借チ)22号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二付随処分について

1 先ず財産上の給付について検討する。

(一) 当裁判所は、本件借地条件の変更により本件借地権の価値が著しく増大すること並びに相手方両名が建物買取に際し負担の増大を強いられ、借地権消滅の可能性が著しく弱まるなどの事実上の不利益を被ることなどを総合考慮して、当事者間の利益の衡平を図るため申立人に財産上の給付を命ずるのが相当と思料する。

(二) 財産給付額について鑑定委員会は、本件土地の更地価額を一平方メートル当り八二七、〇〇〇円本件土地79.33平方メートル分合計六五、六〇五、九一〇円としたうえ、借地条件変更後の借地権割合を更地価額の七〇パーセントとした借地権評価額四五、九二四、一三七円と借地条件変更前の借地権割合を更地価額の七〇パーセントの五分の一とした借地権価額九、〇〇〇、〇〇〇円との差額三六、九〇〇、〇〇〇円の一五パーセント相当の金五、五四〇、〇〇〇円を本件借地条件変更による借地権評価額の増大分として地主に給付するのが相当である旨の意見を提出した。

判旨(三) 当裁判所も前記本件土地周辺の状況等に鑑み、右更地価額はおおむね妥当な金額と認めるが、本件借地条件変更による不利益は賃貸人及び転貸人の双方に生ずると考えられるので、相手方佐々木及び同荻原の双方に対しその不利益を補填するため財産給付をなすべきであり、また給付金額についての鑑定委員会の前記意見は既存建物の現況、本件土地の従前の利用状況等に鑑ると本件借地条件変更による借地権評価額の増大分の分配としては低きに失すると認められるのでこれを採用せず、以下のとおり定める。

(1) 相手方佐々木に対する給付額について。

本件各借地条件変更により生ずる借地権価額の増加分は、本来本件土地の所有者である相手方佐々木に属すべきものであるから、右増加分に相当する金額をもつて給付額とすべきところ、本件借地条件変更前の借地権の割合は、本件全資料により更地価額の六〇パーセント、また、借地条件変更後の借地権割合は鑑定委員会の意見どおり更地価額の少くても、七〇パーセントとそれぞれ認めるのが相当でありその増加分は更地価額の一〇パーセント相当の金額となるので、給付額を前記更地価額の約一〇パーセント相当額六、五〇〇、〇〇〇円とする。

(2) 相手方荻原に対する給付額について。

相手方荻原の有する本件土地に対する転借地権付借地権割合(借地権割合より転借地割合を控除した割合)の減少分は、本件借地条件変更により同人に生ずる損失であるから、右減少分に相当する金額をもつて給付額とすべきところ、本件借地条件変更前の転借地権割合は借地権割合の六〇パーセント、右変更後の転借地権割合は、借地権割合の七〇パーセントとそれぞれ認めるのが相当であり、借地権割合を前述のとおりそれぞれ更地価額の六〇パーセント及び七〇パーセントとすると、転借地権の評価はそれぞれ変更前が更地価額の五六パーセント、変更後が右額の四九パーセントとなり、従つて、転借地権付借地権の評価割合は、借地条件変更前が更地価額の二四パーセント、変更後が更地価額の二一パーセントと認められ、その減少分は更地価額の三パーセント相当となるので、同人に対する給付額を前記更地価額の約三パーセント相当額金一、九〇〇、〇〇〇円とする。

2 次に賃料額について検討する。

鑑定委員会の意見は、更地価額から借地人に帰属する経済的利益(本件においては借地権割合七〇パーセント相当額)を控除した価額一九、六八二、〇〇〇円を基礎額として年六パーセントの期待利回りを乗じて算出した年額純賃料一、一八一、〇〇〇円に公租公課及び維持管理費を加算した額一、五二〇、三二〇円を十二分した金一二六、七〇〇円に本件確定日の属する月の翌月一日から月額賃料を改定するのが相当であるとする。当裁判所も本件借地条件変更による本件土地の利用効率の増加に伴い地代を改定する必要があると認めるところ、相手万佐々木と同荻原との間の本件賃貸借契約中本件土地に関する部分の賃料額は右鑑定委員会意見どおりの金額とするのが相当と認め、申立人と相手方荻原との間における本件転貸借契約に関する転借料については、転借地権の使用収益可能性増大の割合、従前の賃料額、相手方荻原の経済的利益保証の必要等の諸事情に照らし、月額一五〇、〇〇〇円とするのが相当と認めるので、本裁判確定の日の属する月の翌月一日から本件転貸借契約の転借料を月額一五〇、〇〇〇円に、本件賃貸借契約中本件土地部分合計七九、三三平方メートルの賃料を一二六、七〇〇円にそれぞれ変更することとする。

三なお存続期間については、本件全資料に照らし、鑑定委員会の意見どおり、その期間を本裁判確定の日の翌日から三〇年間に変更する。

(伊藤新一郎)

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